はじめに
喜多嶋隆の本に出会ったのは、中学一年生の時です。
小学校高学年の頃から、「文庫」に手を出し(それまでは図書館などで借りてきたハードカバーの児童書が中心)、読書の対象は「大人の世界」へとシフトしていきました。しかしそのちょっと背伸びした「文庫」を親にねだるわけにも行かず、もっぱら友人から借りてきたり、市立の図書館で借りてきて読んでいた。
ある日いつものように図書館で本をながめていると、
鈴木英人のイラストの文庫本が目に飛び込んできた。
運命的な出会いだった。
その当時、米軍基地が身近にあったこともあり、アメリカ文化にとても関心があった。
鈴木英人のイラストも大好きで(『FMステーション』)、目にとまらないはずがなかった。
帰宅後一気に読破したことを今でもよく憶えている。
完全に喜多嶋隆にハマった。そのときの気持ちは今でも変わらない。
しかしながら、それは図書館で借りた本に過ぎず、返却日に惜しみながら返さざるを得なかった。
それから何日かしたあと、たまたま部活動の帰り道よったコンビニエンス・ストアでこの本と再会した!
それは折しも生まれて初めてのお小遣いを両親から頂いた頃と重なった。ポケットには五〇〇円(札)。
まよわずレジに向かった。
それからもうずいぶんとたった。
今改めて、この本のページを開こうと思う。